皆さんは態癖という言葉をご存知ですか?
態癖とは、普段の日常生活の中で無意識に行っている悪い癖のことをいいます。
授業中やお仕事中に頬杖をついていませんか?
寝る時の態勢はどうですか?
普段何気なく行っていることが癖となります。
その悪い癖を長い期間続けていると、歯並びや噛み合わせ、全身に悪い影響を及ぼしてしまうかもしれません!
矯正治療では前歯や大臼歯など、歯によってかける力は異なりますが約30g~150g程の力をかけて歯を動かしていきます。
特に成長期のお子さんの歯は動きやすいため注意が必要です。舌で歯を押すなどの弱い力でも持続的に力が加わると歯は動いてしまいます。
日常生活の中で無意識に行なっている癖は様々ですが、口腔周囲の癖には以下のようなものがあります。
- 舌癖→歯と歯の間に舌を入れていたり(咬舌癖)、舌で歯を押し付けたり(舌突出癖)すること
- 口唇癖→下唇を咬んだり(下口唇癖)、上下の唇を巻き込んだり(吸唇癖)すること
- 口呼吸
- 片噛み
- 爪噛みや指しゃぶり
- 歯ぎしりや食いしばり
- えくぼ癖
- 管楽器癖
顔面や体に関わる癖には以下のようなものがあります。
- 頬杖
- 睡眠態癖→横向き寝やうつぶせ寝
- ショルダー癖→バッグや荷物をいつも同じ側で持つ
- 家事や趣味、食事をするときの姿勢
これらの癖を長期に行うことよって、
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歯に負担、力が加わり 歯が動く
↓
歯軸の傾斜、歯並びの乱れ、変形が起こる
↓
顎や顎関節、噛み合わせへ影響
↓
顔面非対称、体の歪みに繋がり、
頭痛や肩こりなどの体の不調の原因になることもあります。
この患者さんはいつも右向きまたはうつ伏せ、右顎の下に手を入れて寝る癖がありました。そのため、右側の歯列が狭窄しているのが分かります。
現在、寝るときは仰向けに寝るなど、態癖に気を付けていただきながら矯正治療を進めています。
また、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があったため、歯のクッション材を就寝時に使用していただいています。クッション材を就寝時に使用することで起床時に右側の顎が楽だということでしたので、継続して使用をお願いしました。
このように、矯正治療で歯並びを整えるだけでなく、整えた歯並びを長い期間維持するために生活の中の無意識の部分をコントロールする必要があります。
一度癖になってしまうとなかなかやめることが難しくなります。
生活習慣を見直して早い段階で癖に気付き、意識してその癖を改善していただきたいと思います。
<参考> 田村矯正歯科 「避けたい生活習慣について」
態癖ー力のコントロール 筒井照子他編著 クインテッセンス出版
歯科衛生士 M.M.