矯正豆知識

指しゃぶりの歯並びへの影響

赤ちゃんのうちの指しゃぶりは自然な行動です。

しかし、成長していくうちに指しゃぶりがなかなかやめられないお子さんにお父さんお母さんは心配になったりしているのではないでしょうか?

そこで簡単にですが、指しゃぶりについて説明していきます。

*なんで指しゃぶりがやめられないの?*

指しゃぶりは生後2~4ヵ月くらいから始まり、多くのお子さんは3歳くらいになると自然とやらなくなります。

3歳以降もなかなか指しゃぶりをやめられないのには理由があります。

子供ながらにストレスを感じ「退屈な時」「寂しい時」「眠い時」などは不安になり、心を落ち着かせたい、安心したいと思っているタイミングで無意識のうちに指しゃぶりを行うと考えられています。指しゃぶりをすることで落ち着き安心できる一種の精神安定剤の役割をしているようです。

*指しゃぶりしていると歯並びにどのような影響があるの?*

指しゃぶりによって歯並びにも影響が出てくることがあります。3歳以降も続くようであれば、噛み合わせや滑舌に影響することがあり、顎の発育にも関係してきます。

遺伝的な要因やしゃぶり方によっても異なりますが、一般的に以下のような影響が生じてきます。

①上顎前突(出っ歯)

指しゃぶりをする時、上の前歯を内側から親指で押すような状態になるため
出っ歯になってしまうことがあります。

②開咬

指をくわえるため、奥歯を噛み合せた時に
前歯が噛み合わない状態になってしまいます。

③狭窄歯列

指を強く吸引していると、歯並びの横幅が狭くなる状態を引き起こします。

 

*当医院での指しゃぶり対策*

乳幼児期の指しゃぶりは悪いことではありません。お子さんによっては3歳以降も指しゃぶりが続いてしまう場合もあります。心を落ち着かせるために指しゃぶりをやっていることが多いと思いますので、当院では無理にやめるようには指導していません。

歯並びに影響がでてくることがありますが、当医院の管理下にある場合は歯列への影響もある程度コントロールできますので、指しゃぶり自体は大きな問題とは考えていません。成長するにつれ自然と指しゃぶりはなくなっていく場合がほとんどですが、遅くとも小学校中学年頃にはなくなるようにと以下のような方法で対応しています。

①話し合いと治療態勢の構築

指しゃぶりについてどのように考えているか、ご本人・保護者の方とまずは話し合います。保護者と歯科医師から注意を受けて治す態勢だと本人の負担が大きくなってしまいますので、本人・保護者・歯科医師がお互いに協力しあって治していくという態勢をつくることが大切です。「早くやめさせると」いう考えから、「協力して一緒に治していく」という関係づくりを話し合いを進めながら構築していきます。その中で、指しゃぶりがなかなかやめられない背景を少しずつ明らかにし、指しゃぶりをやめると改善される点などを説明していきます。

②本人への指導

指しゃぶりは本人の意志とは関係なく、気づいたらしゃぶっている(特に就寝中)という方がほとんどです。ですので、指の存在を第三者的にとられ、指導を行っていきます。本人が悪いのではなく、本人も一緒に指を指導するという考えに変えていきます。

また、起きているときは目標を設定し(入眠前5分間は我慢する等)、少しずつ我慢できる時間を増やしていくようにしていきます。

③矯正治療

かみ合わせに影響が出ている場合はそれを改善するような装置を使用します。装置を使用することで指しゃぶりをしてしまった際、指が装置にあたり指しゃぶりに「気づく」きっかけにもなります。


いつまで指しゃぶりを続けていて大丈夫かは、お口の中にどのような影響がでているかによっても変わってきます。心配な方はかかりつけの歯科医院や小児歯科・矯正歯科・小児科等に相談してください。

歯科衛生士:N.M.

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