治療内容

準備矯正治療

小学生から始める矯正治療は準備矯正(1期治療)本格矯正(2期治療)の2段階に分かれます。

準備矯正(1期治療)は乳歯が残っている小学校低学年から中学年に行う矯正治療です。
歯並びの土台となる顎骨や歯槽骨の成長を良い方向へと導き、将来の不正咬合の要因を取り除く予防的な矯正治療、永久歯の歯並びの土台作りの治療になります。

*当医院での平均的な動的治療期間は1〜1.5年(来院回数は1ヶ月に1回程度)
準備矯正(1期治療)を行うことで、永久歯に生え変わった段階で行う本格矯正(2期治療)の難易度や治療費・治療期間を軽減することができます。

 

準備矯正で対応すべき不正咬合

【叢生 (そうせい)】乱ぐい歯

【上顎前突】出っ歯

【反対咬合】受け口

【開咬】前歯が噛み合わない

【forced bite】咬合異常から生じる顎のズレ

【萌出障害】​歯が生えてこない

【歯の本数異常】​過剰歯・欠如歯

 

準備矯正の目的デメリット

準備矯正治療の目的

悪い要因を取り除き
歯並びの土台作りとなる治療

骨格形態を整える

悪い歯並びをそのままにしておくと悪い方向へ顎も成長し続けることがあります。 上顎前突や反対咬合はより顕著に、歯列の乱れによる顎のズレがある場合は下顎の歪みが生じます。 成長期をすぎた場合、骨格形態を大きく改善するためには外科手術(外科的矯正治療)が必要になることがあります。

歯列形態を整える

近年、歯列の幅が狭い子が目立ちます。歯列の幅が狭いと、将来ガタガタの量が大きくなり、歯の生え変わりがスムーズにいかず、永久歯が埋まってしまうことや違う場所から生えて来ることがあります。 歯列を拡大し、形態を整えることで、ガタガタの量を軽減し、スムーズな生え変わりを促し、気道通気障害の改善(いびきなどの改善)*にもつながります。

機能を整える

口呼吸や舌突出癖(発音時・嚥下時などに舌を前方もしくは側方へ出す癖)があると、お口や顎の成長に悪影響をあたえることがあります。そのような癖を早期に改善することで歯並びやかみ合わせの悪化を防ぎ、咀嚼・嚥下・発音などお口の機能を正常に発育させることができます。

* 岩崎 智憲:小児期の上気道通気障害がもたらす顎顔面歯列咬合形態への影響と小児歯科からの睡眠医療への貢献 小児歯科学雑誌 2016 年 54 巻 1 号 p. 1-8

準備矯正治療のデメリット

準備矯正治療を行う上で
知っておいていただきたいこと

長期の通院

装置を使用する期間は約1年程度ですが、その後、歯の生え変わりが終わる小学校高学年から中学生になる頃まで経過観察をさせていただきます。経過観察中の来院回数は年に数回です。生え変わりの最中もなにかあったらすぐ対応できるように経過を見させていただきます。

多感な時期

矯正装置は基本的に口腔内で使用するものなので、しゃべりにくいなどの違和感や見た目にストレスを感じる場合があります。

協力が不可欠

準備矯正の装置は着脱式が多いため、お子さんがしっかりと装置を使用することが大切になります。使用時間が不十分な場合、効果が得られなかったり、治療期間が長くなってしまったりすることがあります。

対応策

経験上、矯正治療がうまくいかない大きな理由はお子さんの協力が得られにくいことが多いです。そのような場合には、着脱のできない固定式の装置等で対応することも可能です。その子の環境や個性に合わせて臨機応変に対応することで、治療を進めさせていただきます

 

 

準備矯正の矯正装置

準備矯正治療では患者さんに合わせて以下のような装置を使用します。
*装置の一例です*

準備矯の矯正装置

拡大床装置

歯列の幅を拡大する、取り外しのできる装置です。
中央にネジが組み込まれており、ご家庭で少しずつネジを回すことで歯列を拡大します。
​取り外しができるので、ご本人の協力が不可欠です。

部分的ブラケット装置

歯にブラケット装置を付け、ワイヤーの力で歯を動かします。
基本的に永久歯を並べるため使用します。
​取り外しのできない装置ですので、歯磨きが悪いと虫歯や歯肉炎になってしまします。

機能的矯正装置

自身の筋肉の力を利用し、矯正力を加える装置です。​様々な種類があり、不正咬合に応じて使い分けます。
取り外しのできる装置で主に在宅時に使用します。​骨の成長を利用する装置ですので、長期に使用することで少しずつ効果が出てきます。

マウスピース型矯正装置(小児用)

口腔周囲の筋肉と舌のトレーニングを行いつつ歯並びを整えるマウスピース型の矯正装置です。
市販品になりますので、積極的に使用する適応症例は限られますが、経過観察中に口腔筋機能訓練と併用し、口腔周囲の発育をサポートします。

本格矯正治療へ

準備矯正治療の後、歯の生え変わりが終了したら、仕上げの矯正治療・本格矯正治療の必要性を検討します。

本格矯正治療