矯正豆知識

フッ素と虫歯予防について

歯科医院でよく耳にするフッ素とはどんなものかご存知ですか?使っていてもあまり良く知らない方もいらっしゃると思いますのでお話していきます。

フッ素って何?

フッ素は、自然界に存在する元素の一つで海藻やお茶などの身近な食べ物の中にも微量含まれています。ビタミンやミネラルと同じように、人間に必要な栄養素でもあります。

また、フッ化物(フッ化ナトリウム等)には、むし歯予防効果があり、継続して取り入れることでさらに高い効果が期待できます。ただし、100%予防できるものではないので規則正しい食習慣と歯磨きを心掛けることが大切です。

フッ化物の働き

フッ化物には3つの働きがあります。

1.歯を強くする

→歯の質を強くして、歯の表面が酸によって溶けにくい性質にします

2.再石灰化を促進する

→虫歯菌によって溶け出した歯のカルシウムやリンを修復します(再石灰化)

3.虫歯菌を抑制する

→虫歯菌の働きを抑え、酸が作られるのを抑えます

フッ化物の働きにより、虫歯予防の効果を高めるには、なるべく長い時間フッ化物がお口の中に残るようにしましょう。歯が生え始めた直後から2~3年は継続してフッ化物を取り込むことで虫歯予防の効果が期待できます。

なぜフッ化物を使用したほうがいい?

乳歯は永久歯より歯の表面(エナメル質)が薄く、虫歯になりやすいため、虫歯予防でフッ化物を積極的に取り入れることをオススメします。

特に4~14歳は永久歯が生え始め、乳歯から永久歯へ生え変わる時期です。生えたての歯は、エナメル質が弱く、虫歯菌の出す酸によって溶かされやすいので使用すると効果的です。

大人の場合、加齢や歯周病により歯肉が下がり、歯の根元が露出したところに虫歯ができやすくなります。歯の根元はエナメル質がないので乳歯と同じように虫歯になりやすくなる傾向があります。また、不規則な生活になりがちなため、虫歯治療したところがまた虫歯になってしまうこともあります。なので大人もフッ化物を使用することをおすすめします。

フッ化物はどうやって取り込む?

フッ化物を効率よく取り込む方法として、家庭で簡単にできる方法と歯科医院で行ってもらう方法があります。

3つありますのでそれぞれ説明していきます。

1.フッ化物配合歯磨剤

歯磨き粉はご家庭で簡単にフッ化物を取り込むことのできるセルフケア用品です。歯が生えてきた直後から使用できます。毎日使うことで再石灰化を促進し、虫歯予防が期待できますのでフッ化物配合の歯磨き粉を選んで使用することをおすすめします。市販で販売されているものはフッ化物濃度が1450ppm程度まであります。

フッ素濃度の目安として

  • 小学生未満(~6歳ぐらい)は500ppm
  • 小中学生(6~15歳ぐらい)は950ppm
  • 15歳以上は1000~1500ppm

子供用は100ppm・500ppm・950ppmと記載されたものがありますので、年齢に応じて使用して下さい。

その場合はジェル状・泡状・液体(スプレータイプ)をお使い下さい。

これら3つは吐き出したり、うがいのできない3歳未満のお子さんにも使用することができます。

2.フッ化物洗口

ブクブクうがいができるようになってから使用できます。

個人的に家庭で使用したり、学校などの施設で集団的に使用することもあります。

家庭では毎日使用する毎日法(225~250ppm)、

施設などで使用する場合は週一回法(450ppm)があります。

3.フッ化物歯面塗布

歯科医院で定期的に塗布してもらうもので歯が生えてきた直後から行うことができます。

歯が生えた直後はフッ化物の取り込む量が大きいため最も効果的です。

また歯が生えてから2~3年はむし歯になりやすいため継続して塗布することが重要です。

この3つは併用していただいても問題はありません。併用することにより予防の効果が高まります。

フッ化物の毒性について

むし歯予防のフッ化物ですが、併用したり、毎日使用するに当たって毒性について心配されると思いますのでお話していきます。

フッ化物の毒性はフッ化物を過剰摂取することによって副作用が生じます。

大きく分けて急性中毒と慢性中毒があります。

急性中毒:嘔吐、下痢、痙攣などの症状が現れます。一気に摂り込むと症状が現れます。(体重1kgあたりフッ素量2mg)

慢性中毒:長年にわたりフッ素を摂取し続けることにより「歯のフッ素症」(斑状歯)「骨のフッ素症」(骨硬化症)になると考えられています。

フッ化物によって中毒症状が現れるのはフッ化物を体内に取り込んだ場合です。通常虫歯予防に使用する量では中毒の危険性はありません。矯正治療中の虫歯予防のためにフッ化物を使用することをおすすめします。

ご自身に合ったものを選んで予防を心掛けてください。

歯科衛生士 M.N.

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