お子さんの矯正治療には、すぐに治したほうが良い、緊急性の高いかみ合わせがあります。放っておくと不可逆性の変化(元の状態に戻すことができない変化)を引き起こしてしまうものです。
矯正治療を検討される場合最終的にはご家族の判断を尊重するため、こちらから強く勧誘することはありませんが、以下のようなかみ合わせが見つかった場合は例外的に矯正治療の開始を勧めています。
- 咬合性外傷
お口を閉じてくる過程で、前歯が当たって部分的にかみ合わせが逆になっている方がいます。
早期接触による外傷性咬合といい、前歯の歯茎が下がる(歯肉退縮)・歯を支えている骨が溶ける(歯槽骨吸収)・歯のすり減り(咬耗)・破折を起こすことがあります。
これらの変化は成長とともに目立たなくなりますが、早期の改善が必要になります。
- 成長発育に問題を起こす可能性がある場合
奥歯の交叉咬合・反対咬合・咬頭干渉などによりお口を閉じた際に顎が前後または左右にずれてしまう方がいます。
そのままにしておくと、成長期に顎がずれたまま骨が作られてしまいます。一度歪んだ状態で骨格が形作られてしまうと、矯正治療単独での改善は難しくなります。
- 著しい上顎前突
出っ歯さん(上顎前突)の程度が大きい場合、転んだときに前歯を怪我をしてしまうリスクがそうでない人と比べて約2倍高くなります。
前歯をぶつけてしまうことで、歯の破折・脱臼(歯の脱落)などが起きることがあり、前歯の寿命が短くなってしまいます。
- 生え変わりの問題
歯が本来生えてくるべきところから生えてこないことがあります。異所萌出といい、その後の歯並びを大きく乱したり、永久歯の根を溶かしてしまったりすることがあります。
生え変わりに関してはレントゲンを撮って初めてわかることもあります。お口の中全体のパノラマレントゲンを、前歯が生え変わるくらいのタイミングで一度撮影することが大切ですが、残念ながら保険治療ではなかなか撮影する機会がありません。